アクトビジョン 人と組織の未来のために

変化への適応⑤-多能性を育む

2015-10-09

前回ご案内した 「 多様性 」 というキーワード。

今回は、この 「 多様性 」 と似た響きを持つ 「 多能性 」 についてご案内しましょう。

「 多様性 」 と一文字違いなので時に混同され易いのですが、ここでの 「 多能性 」 とは、一人の方が様々な業務を担えるよう、分野を跨いだ知識やマルチスキルを身に付けた状態のこと。

「 カイゼン 」「 見える化 」 に象徴される日本のモノ創りの工夫から生まれた考え方で、「 多能性 」 を高める過程は 「 多能工化 」、多能性を持つ人材は 「 多能工的人材 」 、サービス業など他の幅広い業界で活用される場面では 「 多能化 」 とも呼んでいます。

生産工場や施工の現場では、一人の技術者さんが様々な工程や作業をこなせるようになる 「 多能工化 」 を推進して効率や生産性を高めてきました。

一人が一つの行程しか担えないと、どこかで業務が集中しても互いにサポートできないし、仕事の量や流れに 「 ムリ・ムダ・ムラ 」 が出て効率が悪い。

これを解決し生産性を高めてきた 「 多能工化 」 の応用が、モノ創り以外の幅広い業界でも大きな成果を生み出している……というわけです。

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「 多能化 」 は、例えば外食企業なら、ホールでの接客業務だけではなく、レジや洗い場、時にはキッチンやバックヤードまでこなせるスタッフの育成から取り組みます。

流通業界なら、売り場やレジ業務だけでなく、商品加工やパック、お惣菜の調理や仕込み、場合によっては発注や販売企画までこなせるスタッフに育成していく。

こういった取り組みを通し、

・忙しい時間帯や一部に集中する業務を、互いにサポートしあえる

・その業務を担う方の欠勤や、突然のアクシデントにも対応できる

・その業務を担う方の退職時も、引き継ぎや新しい担当の育成がスムーズ

・業務連絡が密になり、チームワークが高まる

・互いの業務を理解し合うことで、全体として仕事の質が向上する

・業務のムリ・ムダ・ムラが減り、効率が向上する

など様々な成果を生み出し、生産性を高めるわけです。

「 多能化 」 や 「 多能工化 」 も、変化への適応の一つの形。

誰かはとても忙しいのに周りは手が空いている……や、誰かの突然の欠勤や退職に、円滑に対応できていない……を改善することで、

・全体として総労働時間が短縮され、残業や休日出勤の負担が減った

・繁忙期や忙しい時間帯のフォーメーションが改善され、募集採用の悩みが減った

・人材育成のステップが再整備され、導入や育成の悩みが減った

という数多くの成功事例に繋がっています。

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ここでポイントとなるのが、その育み方です。

「 多能性 」 は一度組織に浸透すると、その後は円滑に継承されていくものです。

けれど、一刻も早い効果を……と、それまで 「 単能性 」 が前提だったフォーメーションを 「 急いで 」 「 力づくで 」 変えようとすると、かえって難航してしまいます。

「 単能性 」 から 「 多能性 」 は、組織にとって様々なメリットや成果を生み出す反面、個々のアルバイト・パートさんに負荷をかける側面も持っています。

勤務時間やポジションによっては、新しい知識やスキルの習得に 「 時間を要する 」 場合も想定しなければなりません。

「 多能性 」 を育む手順は、「 植物の種を蒔き、育て、花を咲かせる 」 手順に例えられ、最適な季節や時期選び、土壌創り、種の蒔き方、発芽を待つ、日当たり、水やり追肥……と 「 急がば回れ 」 が原則です。

小さな種を蒔き、大切に育て、美しい花を咲かせる手順のように、

・繁忙期など他の負担がかかる季節を避け、取り組みに最適な時期を選ぶ

・多様性に向かう意義や目的への 「 理解 → 納得 → 共感 → 自発 」 の土壌創り

・スタート期は、アルバイト・パートさんの主体性を引出しながら丁寧に

・進捗状況によっては、柔軟に対応

・大きな成果が期待される取り組みとして光を当て、組織全体で温かく見守る

・それによってアルバイト・パートさんが何を受け取り、どう報われるのか……

などの視界が大切なのです。

これらの手順に沿った丁寧な取り組みからは、各企業様の組織風土によって、アルバイト・パートさんたちが 「 自ら・自分たちが主体となって 」 推進してくれた……等の嬉しい事例も生まれています。

人が新たな目標と向き合う場面での 「 理解 → 納得 → 共感 → 自発 」 の4つのステップ、以前ご紹介した 「 モチベーション3×3 」 のそれぞれのポイントも、こういった場面で活躍している要素です。

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