
経営やマネジメントを担う皆様をはじめ、人と組織を成長発展させたい……。
そんな熱い想いの皆様を応援する、アルバイト・パート活用のヒント集。
アクトナビの藤井です。毎々ご愛読頂き誠にありがとうございます。
前項 の 「 アルバイト・パート活用の土台創り 」 に続いては、時代の流れの中で大きく変化している 「 アルバイト・パート採用を取り巻く現状 」 を押さえていきましょう。
昨年、新聞などで報道されたアルバイト・パートの採用難に纏わるニュースの数々。
報道されたような大きな企業だけではなく、アルバイト・パートさんの採用に苦労する……というお声は、ここ数年、年を追うごとに増えてきています。
求人募集をしても以前のように応募がない。
応募があってもなかなか面接に至らない。
採用を決めても辞退されてしまうケースが増えた。
近隣の時給相場が上がり続けている。
追従せざるを得ない状況だが、人件費の大幅な増加への対策が追い付かない……。
これらのお悩みを統計データから具体的に見ていくと、例えばこの5年間の有効求人倍率は下記のように推移しています。
これまでも度々ご紹介してきた有効求人倍率の推移。
採用が難しくなっている……のは、一昨年や昨年の状況に対し、具体的にどのくらいの変化なのかを把握する一助となります。
今回は季節的変動要因が大きいアルバイト・パートさんが主役ということで、四半期ごとの季節調整値の方で比較。
更に
① パートタイムのみ
② 新規学卒者を除いた全体
③ 新規学卒者とパートタイムを除いた推移
の3つの視点で整理したものを添付しておきました。
こちらのグラフをセミナーなどでご紹介すると、
「 えっ、アルバイト・パートさんの方が有効求人倍率が高いんですか? 」
「 グラフは逆になっていませんか? 」
というお声を時折頂いたりもしますが、逆ではありませんのでご安心ください。
アルバイト・パートさんの方が有効求人倍率が高い……。
この統計元が公共職業安定所 ( ハローワーク ) におけるデータであることを前提としても、これまでアルバイト・パートさんの方が競争率が低く採用し易い……と思っていた方には、意外な事実かもしれません。
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こちらのグラフからは、年を追うごとに……どころか、四半期ごとに、企業やお店にとっての採用環境が厳しくなっている現状が身に沁みます。
先日発表された2014年12月の有効求人倍率 ( 新規学卒者を除きパート含む ) は1.15倍。
2014年10月の1.10倍、11月の1.12倍に続く3カ月連続の上昇は、新聞やニュース等で22年9か月ぶりの高水準……と報じられました。
更にパートタイムだけの有効求人倍率の推移を見ると、2012年に1.0倍まで回復した後、一昨年には瞬く間に1.2倍を超え、昨年は1.34倍から1.41倍まで上昇。
確かに採用難を裏付ける厳しい採用環境です。
ここで大切なのは、対策を考えるにあたって、3%~4%の微妙な変化に対する打ち手と、30%~40%もの大きな変化に対する打ち手では、
「 考えるべき解決策の質と量が根本的に大きく変わる 」
ということです。
取り組むべきはこの3年で40%以上の大きな変化に対する解決策。
統計による事実は、小手先の工夫ではとても追いつかないほどの大きな変化……であることを示しています。
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この傾向は東京や名古屋を有する愛知などでは更に顕著で、新規学卒者を除く全体値の比較でも、下記のように動き方に目に見える開きが現れています。
東京は2020年の東京オリンピックへ向けた動きが加速しています。
名古屋駅周辺は続々と超高層ビルが建設され、来るべき中央リニア新幹線を待ち構えます。
東京―名古屋間が最速僅か40分……。
日本全体で人口減少が進む中、両都県は三本指に入る人口増加率ですが、厳しい採用環境は今後もしばらく続くかもしれません。
東京や愛知の皆様は、長期的な変革も含めた採用戦略、3%~4%の変化に対してではなく、50%~60%の変化に対する打ち手、根本的な対応の視点が大切です。
次回は、時給相場の推移を見ていきましょう。
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