アクトビジョン 人と組織の未来のために

募集採用-求人媒体のポテンシャルを引き出す②

2013-01-10

企業経営やマネジメントを担う皆様をはじめ、人と組織を成長発展させたい……
そんな熱い想いの皆様を応援する、募集採用のヒント集。

「 せっかく予算を掛ける求人募集。もっと応募効果を高めたい! 」

という皆様へ、今回は前回とは全く逆の事例のご紹介です。

◊ ◊ ◊

こちらも私の体験で恐縮ですが、今回は私が二十代半ばだった頃のこと。
ちょうど私が初めて部下を持ち始めた時期の事です。

ある日、ひとりの新人メンバーが相談にやってきました。
お客様に掲載して頂いた求人広告が、応募効果に繋がらないとのこと。

その原稿を見せてもらうと、当時の最小サイズの広告枠で募集データは平均的。    
記載は基本通りですが、サイズが小さく文字量の限界もあるのか、訴求ポイントが少ない。      
確かに応募効果への決め手に欠ける原稿になっていました。

改善点を話し合っていくと、どうやら取材が浅い様子です。

よしっ、この機会に原稿提案の基本を教えよう……。
ヒアリングや取材の仕方、コンセプト設計や原稿戦略も……。

私はメンバーの想いとは逆に、少しわくわくしながら、一緒に再取材に行こう……と提案。

早速お客様に約束を頂き、メンバーと二人、その日のうちにお伺いすることにしました。

 
その道すがら。メンバーとの会話の中で、気になることを耳にします。

「 そういえば、店長、今月いっぱいでお店を辞めるらしいんです 」

「 えっ、どうして…… 」 と私。

「 自分のお店なのに、なんだか問題点ばかり言ってましたし…… 」

少しだけ嫌な予感がよぎります。

 
そうしてお会いした店長は、けれど、とても温厚で気さくな方でした。

聞けば、ちょうど私と同じ歳で生まれた月まで同じです。

同学年ですね……と意気投合し、打ち解けた雰囲気の中、会話も進んでいきます。

ただ、気さくな店長はとてもお疲れのご様子です。

若くして店長を任されるだけあって、とても頼もしそうな、しっかりした印象の方ですが、どうにも覇気がありません。

その上、言葉の端々からは、なんだか消極的、否定的なものが滲んでいます。

「 店長、毎日しっかり寝ていらっしゃいますか? 」                   

それまでの会話の流れから、私から必然的に出た言葉。

その言葉をきっかけにして、会話の内容は募集や採用を大きく逸れていきます。

再取材のはずの場は、店長の内なる想いを聞く場へと、みるみる変わっていきました。

 
なかなか休みが取れない……。

昨日は数時間しか寝ていない……。

こんなに過酷な状況の中、人がまた辞めてしまう……。

時給を上げたいが会社の規定で上げられない……。

そもそも、うちは教育体制が整っていない……。

上司は売上や利益のことばかり言う……。

たくさんの先輩たちも辞めていく……。

……。

 
同じ歳、同学年ということもあったのかもしれません。

同じ部下を持つ身ということもあったのかもしれません。

初対面の私に、延々と想いを語る店長。

私もいつしか仕事を離れ、ひとりの同級生の想いを、ただ真正面から受け止めるひとりの人になっていました。

◊ ◊ ◊

この話にはちょっと素敵な後日談があるのですが、ここでまずお伝えしたいのは、採用活動に携わる方自身の充実度、満足感です。

ご紹介した例は少々極端かもしれませんが、採用を担う方自身が疲弊していたり、沈み込んでいたりすると、採用活動はどうしても歯車のかみ合わないものになってしまいます。

掲載スペース……本部が予算に厳しいので、一番小さいので……。
お店の魅力……あまりない……。
仕事……きつい。とにかくきつい……。
時給……低いよね。( 上げたいけれど、本部の規定があって…… )

伝わりやすいよう、敢えてこういった部分だけ羅列してみましたが、ご紹介したケースでは最初の取材でこんなやり取りもあったようです。

そして、新人メンバーが決め手に欠ける原稿を制作した要因のひとつも、ここでした。

どんなに一流のシェフでも、素材と調味料がなければ美味しい料理は創れません。

同様に、これでは効果の高い求人募集に、なかなか結びつくものではありません。

自社や自店への深い想い。

商品やサービスへの愛着。

日々の仕事の中でのやりがいや達成感。

仕事をする環境、日々を営む場としての充実感、満足感。

求人媒体のポテンシャルを120%発揮するためには、採用を担う方自身がそういったものに満たされているからこそ、初めて得られるキーワードがあり、本物の素材、珠玉の調味料が見出されるのです。

シェフにたくさんの素材と調味料を渡し、どんな美味しい料理が……とわくわくする。

求人媒体のポテンシャルを引き出すには、採用を担う方自身が採用活動に熱心でポジティブであることが大切です。

そのためには、採用担当者自身の充実、やりがい、自社や商品への愛着や深い想い入れ……をまず整えることを忘れてはならないわけです。

ご紹介の事例は少々極端ですが、同じような状況は、特に急成長している組織で何度となく出会ってしまいます。

成長しているからこその募集採用。けれど、募集採用にまみれるからこその現場の疲弊。

このパラドックスに大ナタを振り、この連鎖を断ち切れるのは、根性論でなんとかする……でもなく、もちろん各求人媒体の担当者でもなく、全体をマネジメントし経営を担う当事者の皆様しかいらっしゃいません。

こういったパラドックスが解消されて初めて、求人広告のポテンシャルは発揮される。

ここを見落としたまま現場に任せっきりで、ご紹介したような状況になっていないか。

採用にお悩みの前に深呼吸し、確認してみることが大切です。

◊ ◊ ◊

その上で、この事例を覆轍として、改めて前回のご案内も押さえ直しておきましょう。

求人媒体の営業担当が、この会社に入りたい……と思ってしまうほど熱く語っているか。

求人媒体の制作担当を、この会社の〇〇と〇〇を伝えたい……とむずむずさせているか。

前回の事例と対比させると、より鮮明にお解り頂けるでしょうか。

《 コラム一覧はこちら 》《 コラムアーカイブスはこちら 》

←「発展する組織と募集採用」前章へ・次章へ「求人広告の良い営業マンとは」→

ページ上部へ戻る