アクトビジョン 人と組織の未来のために

学ぶ面接 刻まれる面接

2015-05-20

前回 ご紹介の 「 才 」 に光を当てる面接。

この 「 才 」 は、卓越した資質や、極めて専門的な能力、長年に渡り培われたスキルなど、突き抜けたものだけを示すわけではありません。

それは、ごく些細なことから語られるシーンの方が多いものです。

 
以前、面接の資料としてお渡ししたレジメを、とても丁寧に取り扱っている応募者に出会ったことがありました。

セミナーや研修も同様ですが、様々な説明の後、渡したレジメは少なからず皺がよったり、時にはたくさんの折れ目が入ったりするものです。

それを、とても丁寧に扱ってくれ、渡した綺麗な状態そのままに、持参したクリアケースに収めて大切なものをしまうように鞄に入れようとしています。

よく見ると、鞄の置き方、脱いだコートのたたみかた、手帳や使っているボールペンまで、同じようにとても大切にしていました。

私は思わず声を掛けます。

「 〇〇さんは、とても物を大切にしていますね。

 自分の持ち物だけでなく、お渡ししたレジメまで、とても丁寧に扱ってくれている  」

 そして、もう一言。

「 物を大切にする人には、自己管理力の高い人が多いんです。

 それに、命や自然や出会う人たちへのそれも含めて、感謝心の高い人も 」

面接の終盤でそう声を掛けられたら、皆様はどう受け取るでしょう?

同様の場面で、戸惑ったり、驚いたりする応募者も決して少なくありません。

けれど、その応募者は輝くような笑顔を見せ、感謝の言葉を一言。

『 ありがとうございます 』

そして、私の同意を求めた上で、現在はニューヨークヤンキースに所属するイチロー選手の話を聞かせてくれました。

◊ ◊ ◊

バットの木は、自然が何十年もかけて育てたものです。

僕のバットは、この自然が育てた木から、たくさんの人の手をかけ生まれたものです。

昔、一度バットを投げて、とても嫌な気持ちになったことがあります。

自然に感謝して、生み出してくれた人たちの気持ちを考えるなら、僕はバットを投げたり、地面に叩きつけたりはできません。

自然が何十年もかけ育んだものから、たくさんの人たちが想いをこめて生み出してくれたバットやグローブ。

このバットやグローブのおかげで野球ができるのです。

プロとして道具を大切に扱うのは、当然のことです……。

 ◊ ◊ ◊

真摯に高みを目指し続け、次々と記録や記憶を塗り替える礎には、イチロー選手ならではのそんな想いがあるのだと言います。

その応募者は学生時代この話を聞き、とても感銘を受け、自分が使うものも同じように……と考えたんだそうです。

私も面接選考をする立場ながら、胸に響くものを感じました。

そして、イチロー選手の話には及ばないけれど……と前置きし、こう返します。

「 これは学習塾を展開している社長様に聞いた話なんですが、
  鉛筆や消しゴム、レジメを丁寧に扱う子供ほど、成績が良い傾向があるんだそうです。

 そのレジメは私が書いたんですが、そこまで丁寧に扱ってくれとても嬉しくなります。

 物を大切にする人は、人を喜ばせる人でもあるんですね 」

私の言葉に、応募者はまた満面の笑顔を浮かべます。

そして、藤井さんが書いたんですね……と、レジメの内容のいくかについて、湧き上がっていた様々な想いを語ってくれました。

それは、面接に訪れる方々に私が伝えたいことを、しっかり受け止めてくれた上での想い。

終わりかけていた面接は、そこから少し延長されていきました。

そこからの時間は短いものでしたが、今も私の中に刻まれています。

面接というより、初めて出会った人と人が、互いに学び合い、認め合う時間のように……。

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カテゴリー: 面接力と組織活性
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