
活性化する組織、進化・発展する企業創りの入り口……人材採用。
募集採用を担う皆様をはじめ、人と組織のわくわくする未来を担う皆様を応援する 『 採用力 』 を高めるためのヒント集。
アクトナビの藤井です。
毎々ご愛読頂きありがとうございます。
ご案内している 面接力を高める5つのコツ 。
その4つめのポイント 評価・判断 ( ジャッジ ) 。
前回 ご紹介の事例……皆様はどうお考えになったでしょうか。
A社に採用される人材も、B社に採用される人材も、どちらも 「 優秀で良い人材 」 です。
けれど、A社に採用される人材の多くはB社では採用されず、B社に採用される人材の多くはA社で採用されません。
繰り返しますが、どちらも 「 優秀で良い人材 」 であるにもかかわらずです。
詳しくご案内していきましょう。
前回ご紹介したように、A社がお客様に選ばれている理由は、伝統や格式、作法とまで呼べる仕事への厚い信頼や安心感です。
社風も、お伺いしている私まで背筋を伸ばしたくなるほどですから、『 求める人物像 』 を明確化するにあたりまず抽出されたキーワードは 「 誠実 」 「 真摯さ 」 「 守る 」 「 受け継ぐ 」 などでした。
一方で変化する時代への対応にも着手しなければならない局面……ということも見出され、ただ 「 守る 」 「 受け継ぐ 」 だけでなく、「 起承転結 」 で言えば 「 承 」 の力……これまでの伝統や格式を敬い深く理解しながら更に次の物語へ 「 進め 」 承継できる人材……という視界も深まっていきます。
そうして考察を進めると、大切なものは 『 規律性 』 や 『 信頼構築力 』 、『 敬承力 ( ケイショウリョク ) 』 ( 上記の意味を表す造語です ) だと集約されていきました。
採用広報のやり方や面接も、規律や信頼感重視。
応募者は全員リクルートスーツに身を包み、背筋を伸ばし礼儀正しく訪れます。
言葉遣いも 「 チョ~むかつく~ 」 「 マジやばくね 」 どころか、私も面接で度々耳にする 「 ってゆ~か 」 「 ぶっちゃけ 」 「 ですよね~ 」 などが出てきたら赤信号。
面接の場は、格調高い雰囲気まで漂っています。
規律と信頼を大切にし、守るべき伝統を時代の変化に対応しながら守り進められる人材こそが、A社自らが見出した 『 求める人物像 』 です。
一方、B社では、この点についてはあまり気に留めません。
若者向けの新しいサービスや商品を提供しているということもあり、大切にしているのは 「 面白さ 」 や 「 楽しさ 」 。
『 求める人物像 』も、まず 「 面白い 」 「 楽しい 」 というキーワードが抽出され、そこから、「 仕事を面白くできる 」 「 様々な状況を楽しめる 」 「新しい視点で物事を見られる」 「 その視点から得たものを形にし、発信できる 」 などと視界が深まっていきます。
そうして大切なものは 『 主体性 』 や 『 創造性 』 、『 快発力 ( カイハツリョク ) 』 ( 面白さや楽しさを創りだし発信できる人材という意味の造語です ) ……と集約されていきます。
採用広報のやり方や社長自らスーツを着ないということもあり、B社に訪れる応募者でリクルートスーツは少数派。皆さん敢えて想い想いのファッションで訪れます。
飛び交う言葉も若者文化。「 てゆ~か 」 「 それってマジすか? 」 に、社長自ら笑顔で 「 マジです 」 と返します。
若者文化を理解し、様々な状況でも自ら楽しめる人材、面白くて新しい発想のものを生み出せる人材こそが、B社自らが見出した 『 求める人物像 』 です。
『 規律性 ・ 信頼構築力 ・ 敬承力 ( ケイショウリョク ) 』 と 『 主体性 ・ 創造性 ・ 快発力 ( カイハツリョク ) 』 を 『 求める人物像 』 とするふたつの企業。
評価・判断 ( ジャッジ ) のモノサシ…… 「 規準と基準 」 の違いは、こうして生まれていきます。
どちらかの 『 規準と基準 』 が良い悪いとか、どちらかの 『 求める人物像 』 が正しい正しくないではありません。
以前 、「 正しいかどうか 」 というより 「 どうありたいか・どうなりたいか 」 で考える……とご案内させて頂きましたが、その根本はここに繋がっています。
A社にはA社の見出した 『 求める人物像 』 こそが必然、必要、ベストなものですし、B社にはB社の見出した 『 求める人物像 』 こそが必然、必要、ベストなもの。
A社がB社の 『 求める人物像 』 で採用活動をしても上手くいきませんし、B社がA社の 『 求める人物像 』 で採用活動をしても上手くいかないでしょう。
どこかから見つけてきた 「 規準と基準 」 では上手くいかない……というのはこういうこと。世の中の 「 全ての企業 」 にぴったりの、たったひとつの 『 規準と基準 』 があるわけではないのです。
また、 ここで押さえておきたいのは、どちらの企業に採用された方々も 「 優秀な人材 」 で 「 良い人材 」 ということが映し出す意味。
「 優秀な人材 」 「 良い人材 」 というだけでは、『 評価・判断 』 のための的確な 「 規準と基準 」 にはならない……ということも具体的にお分かり戴けることでしょう。
以前のコラムで
「 サッカーチームが “ スポーツしたい人 ” を求める人物像とするようなもの 」
とご案内させて戴きましたが、より良い人材採用のためには更にもう一歩掘り下げていくことがポイント。この点については、こちら を参照頂ければ幸いです。
『 求める人物像 』 は、自社や自組織の中にこそあるもの……です。
『 求める人物像 』 は、自社の生立ちや発展の歴史、お客様に選ばれている理由、将来構想や戦略、磨きたい社風や企業文化などの、自分たちの “ これまで ” と “ これから ” に深く向き合うところからこそ見出されます。
そういう意味では、自社を知り、自組織を知り尽くしている方こそが、高い面接力を持っている……とも言えるでしょう。
自分たちがこうありたいという姿は、どんな仲間がいればこそなのか……。
自分たちがなりたい未来は、どんな同志が共に歩んでこそ実現されるのか……。
質問や見極めのスキルもとても大切ですが、面接力を高めるためには、自社や自組織を深く知り尽くす……ということが最も大切なのかもしれません。
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