
アクトナビの藤井です。
毎々ご愛読頂きありがとうございます。
組織活性化、最高のチーム創りの入り口である募集・採用活動について、 前回 からご案内している、どう 『 集める 』 か……に続く、どう 『 つかむ 』 か。
今回は少し趣向を変え、随分昔のことですが、今でも忘れられない、ある 「 シーン 」 からご紹介致しましょう。
木々の新芽が開き、緑に彩られはじめた公園沿いの電話ボックス。
そこに、ひとりの若者が緊張した面持ちで入っていきました。
手には、丁寧に切り抜かれ手帳に挟まれた一コマの求人広告。
私は、自分が創る求人媒体だとひと目で判り、思わず足を止めます。
彼は、その求人広告を大切そうに見つめながら、深呼吸を一回。
そして、意を決したように電話に手をかけ、10円玉を入れました。
でもすぐに息を吐いて受話器を置いてしまいます。
見ていると、ひとりでなにかぶつぶつ復唱している様子。
応対のリハーサルかな……と見ていると、
次にさらに意を決した表情になり、
今度はしっかりと電話を掛け始めました。
その間、僅か1~2分くらいだったでしょうか。
電話をしながら若者の顔は緊張から笑顔に変わり、
電話ボックスを出る頃は、
なんだか充実感と活力に溢れたものになっていました。
応募の電話は上手くいったようです。
自分が携わる求人広告がこんなにも大切にされ、
こんなワンシーンを創り出している。
偶然とはいえ、
見ていた私まで笑顔になり、
なんだか活力をもらえたシーンでした……。
さて、例えばですが……
「 求人広告に応募するシーン 」 とは、かつて、こういったイメージに代表されるものだったのではないでしょうか。
大切に握られた求人広告。
緊張し、深呼吸を繰り返す応募者。
応対のリハーサルをして、意を決するように手を伸ばす電話……。
しかし、時代は大きく変化し続けています。
最近では端末をワンクリックすることから応募する感覚のチャネルも現れ、応募のシーンはスマートホンやPCがイメージされるようになってきました。
以前のコラム で、若者意識の変化を、
・ 「 もしもし 」 から 「 いいね! 」
・ 「 クルマ・ステレオ 」 から 「 ケータイ・PC 」
・ 「 社会の中の自分 」 から 「 自分の中の社会 」
・ 「 自分らしく 」 から 「 自分サイズ 」
などのキーワードでご案内したことがありますが、これらの変化は、募集に対する応募行動も変化させています。
急速に進む求人チャネルの増加と、アクセス手段の多種多様化。
ネット媒体の台頭や、ビジュアル・動画等の手軽さをはじめ、時間的にも空間的にも、応募者が受け取る情報の選択肢は拡大を続けています。
たくさんの選択肢の中、「 まず応募してみる 」 「 とりあえず応募してみる 」 といった感覚に近い応募行動とも、ごく当たり前に出会うようになってきました。
応募者が、自社や自店舗への 「 高い 」 入社意欲を前提にしていないという時代。
深呼吸して意を決し……という応募行動は、年々少なくなっているようにさえ感じます。
更には、ネットやソーシャルメディアの浸透です。
応募者は、情報の送り手でもある……。
長年に渡って応募受付や面接・選考に携わってきた方が、先日、ふと仰っていました。
『 長い間、採用の世界で経験を重ねた私が、経験の無い未知の世界で採用実務を進めているような感覚です…… 』
確かに頷いてしまうほどの変化です。
ここ数年、応募者をどう 『 集める 』 かだけでなく、どう 『 つかむ 』 かについてご相談が増えているのは、こういった背景もあるのでしょう。
変化する募集・採用環境。
変化する応募行動。
では、応募受付や面接・選考は、この変化にどう対応すれば良いのか?
次回は、そのポイントをご案内致しましょう。
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