アクトビジョン 人と組織の未来のために

面接力と組織活性

2015.05.11

同志的結合 と 面接力

前章 でご案内したファン化・同志化 ( モチベイト )

今回は、お声の多い 同志化 というキーワードについて、少し補足しておきましょう。

『 志を立てて以て万物の源と為す 』 『 志定まれば気盛んなり 』

「 志 」 や 「 同志 」 という言葉から真っ先に浮かぶのは、吉田松陰でしょうか。

松下村塾に集った人材は志を立て志を定め、後に明治維新の礎となっていきます。

松陰の志を最も受け継ぎながら、禁門の変で若くして永遠の眠りについた久坂玄瑞。

面白きこともなき世を面白く……と、奇兵隊を創設した高杉晋作。

新政府で総理大臣を担った伊藤博文、山縣有朋は、七十名を超える塾生のまだ末弟でした。

松陰は塾生たちを決して呼び捨てにせず、誰に対しても 「 ○○さん 」 と敬い、常に盟友、同志として接しました。

そこに育まれた 「 同志的結合 」 。

これこそが、松陰の死後も時を経て、明治維新という新しい日本の誕生を成し遂げさせたのかもしれません。

同志が集うところには、大きなエネルギーと困難を乗り越え成し遂げる不屈性が宿る。

「 同志化 」 というキーワードをご紹介する折、この 「  同志的結合  」 について触れることがあります。

◊ ◊ ◊

 
組織の根本にある 「 人と人との繋がり 」 に目を凝らすと、そこには様々な 「 結合体 」 が見えてきます。

「 同志的結合 」 と対照的なのは、利害関係で繋がる 「 利害的結合 」 でしょうか。

極端なイメージを幕末に見るなら、ピュアで真直な 「 同志的結合 」 の松下村塾に対し、

「 お主も悪よのう~ 」

と、小判が詰められた菓子箱を挟み、悪巧みをする悪代官と悪徳商人。
( 少々極端すぎますが…… )

この一味を退治する代表の水戸黄門ご一行は、「 主従的結合 」 の中にも 「 同志的結合 」 の繋がりが多分にあるように感じます。
( 黄門様は江戸時代初期で、幕末ではありませんが…… )

他にも、封建社会や江戸時代だけではなく、現代の企業や法人の中にも探すことのできる、家族や親戚などの繋がりを中心とした 「 同族的結合 」 で結びついている組織。

利害まではいかないけれど、給与やインセンティブ、昇進や昇格、社名による親族の安心感や世評など、なんらかの利益で結びついている 「 利益的結合 」 の組織。

大学等では 「 同好的結合 」 のサークル活動が活発ですし、もっと根本的な好き、気が合うといった 「 情緒的結合 」 の繋がりは、組織だけでなく子供たちの遊び場でも見られます。

セミナーや研修などでは時折、会場の皆様と一緒に、これらの要素を楽しみながら座標上にプロットしてみることがあります。

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上記は、「 エネルギー・結束力 」 と 「 遂行性・不屈性 」 という視点から、種々プロットされた一例です。

ご参加頂いている皆様の価値観により、これ以外にも様々なプロット例があるわけですが、ここでお伝えしたいのは、様々な結合体の中で同志的結合だけは定位置になるということ。

どんなセミナーや研修でも、同志的結合は必ず最もエネルギーや結束力が高く、最も遂行性・不屈性が高いところに皆様プロットされます。

同志的結合だけが持つピュアなエネルギーと結束力。

為すべきことを成そうという不撓不屈性の高さ。

利害的結合利益的結合の組織では、その利害関係が崩れてしまうと組織のエネルギーが急速に失われてしまう……。

これは、バブル崩壊時やリーマンショックの直後に実際に経験して……というお声も多く寄せられました。

また、企業や法人はその特性上から、情緒的結合同好的結合だけで繋がり続けるわけにもいきません。

所謂仲良し倶楽部では、普く日々の業務が滞ってしまうというお声も多く頂きます。

人材採用の後にある、組織の繋がりとして向かうべき方向。

そのひとつとして、同志的結合は燦然と光り輝いているわけです。

◊ ◊ ◊

「 同志的結合 」 という言葉は、ソフトバンクを創業された孫社長が最近よくお使いになると聞きました。

そのインパクトもあり、この言葉は私の周りだけでなく少しずつ浸透し身近な言葉になりつつあるように感じます。

時代の変わり目は、新しい時代に対応するための言葉が生まれ、やがて身近なものになる。

冒頭の幕末から明治の時代に戻るなら、

「 自由 」 「 社会 」 「 科学 」 「 自然 」 「 権利 」 「 衛生 」 ……

などは、今でこそ身近な言葉ですが、すべて明治時代に生まれた言葉なんだそうです。

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2015.05.15

才に光を当てる面接

『 人に賢愚ありと言えども、各々、一、二の才なきはなし 』

前回 ご案内の吉田松陰は、出会った人の 「 才 」 に光を当てることに長けた人物でした。

再航したペリーの船団に乗り込み、自ら名乗り出て野山獄に投獄された折も、松陰は囚人達一人ひとりの 「 才 」 を見て、

「 あなたは書が上手い 」 「 あなたは俳句が得意だ 」

と、書の上手い囚人からは書を学び、俳句の上手い囚人からは俳句を学んだといいます。

松陰自身は、得意だった 「 孟子 」 を講義。

囚人達は松陰のもとに集い、それまで荒んだ状況だった牢獄は、たちまち互いの 「 才 」 を発揮する学びの場へと変わっていきました。

 
「 才 」 という言葉を現代に置き換えるなら 「 才能 」 でしょうか。

別の視点では、「 長所 」 ということもできます。

松下村塾で 同志的結合 が育まれた礎では、松陰が持っていた 「 才能や長所に光を当てる 」 という姿勢が、とても大きな働きをしていたわけです。

面接選考の最終局面で 「 同志化 」 へ向かう場面でも、この 「 才能や長所に光を当てる 」 という姿勢は、とても大きな働きをします。

ある意味で、人材採用とは、応募者の才能や長所を認め、それが自社で活かされることを予見するもの……ともいえるでしょう。

入社する方も、自分の才能や長所が活かされるところでこそ幸せに働くことができます。

才能や長所を活かすからこその大きな成果や業績は、会社や組織全体も幸せにします。

以前 人材育成のヒント の項でも触れましたが、再びリクルートの人材事業のコマーシャルメッセージを思い出します。

「 仕事が楽しいと人生が楽しい 」

確かに、仕事が楽しいと毎日が充実する。

幸せに働けると幸せに生きられる。

ここで松陰に学ぶなら、その幸せに働ける仕事は、一人ひとりの才能や長所に光が当たり、一人ひとりの才能や長所が活かされるところにこそあるのです。

それは、松下村塾に見るように、同志的結合を育んでいくという側面をも持っています。

この側面から面接選考の最終局面をしっかりと照らす。

面接選考を担う皆様の、かけがえのない冥利です。

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ここは、以前のコラム のご案内に通じます。

「 才能 」 という言葉を和英辞典で調べると、ability、capability、capacity、talent……等と共に「 gift 」という言葉がある。

「 才能 」は、生まれるとき、それぞれに贈られた「 Gift 」 ……天からの贈り物。

英語圏の人たちの価値観に学ぶなら、それは、幸せに生きられるよう神様がくれた贈り物。

この贈り物は生まれてきた役割や使命のようなものと繋がっていて、才能や長所を活かすことで、より世の中の役に立つ……より幸せに働ける……より幸せに生きられる……。

より良く生きるために使いなさい。

その役割を果たすために使いなさい。

これは、毎春新入社員に語りかける

「 何のために働くの 」 「 どう仕事をするの 」

への道標にもなっています。

◊ ◊ ◊

そう想いを巡らせる時、面接選考の最終局面は、

「 当社の選考基準を満たしたので合格に…… 」

といった無機質なメッセージではなく、

「 ○○さんには、◇◇や◎◎という素晴らしい才能や長所がありますね。

  そういった才能や長所を、ぜひ当社で活かしてください! 」

といったメッセージで語られていくべきものでしょう。

それは、先程触れた 「 Gift 」 に通じる想いを、丁寧な言葉で包み込むメッセージ。

「 あなたは何のために生まれてきたのか 」 

「 あなたの生まれてきた役割は何か 」

「 それは、その才能や長所を活かし、当社でこんな活躍をすることではないか 」

「 同じ志のもと、わくわくする未来へ、共に歩んでいこう…… 」

包みを開くと、こんな濃密な声が隠れているものかもしれません。

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2015.05.20

学ぶ面接 刻まれる面接

前回 ご紹介の 「 才 」 に光を当てる面接。

この 「 才 」 は、卓越した資質や、極めて専門的な能力、長年に渡り培われたスキルなど、突き抜けたものだけを示すわけではありません。

それは、ごく些細なことから語られるシーンの方が多いものです。

 
以前、面接の資料としてお渡ししたレジメを、とても丁寧に取り扱っている応募者に出会ったことがありました。

セミナーや研修も同様ですが、様々な説明の後、渡したレジメは少なからず皺がよったり、時にはたくさんの折れ目が入ったりするものです。

それを、とても丁寧に扱ってくれ、渡した綺麗な状態そのままに、持参したクリアケースに収めて大切なものをしまうように鞄に入れようとしています。

よく見ると、鞄の置き方、脱いだコートのたたみかた、手帳や使っているボールペンまで、同じようにとても大切にしていました。

私は思わず声を掛けます。

「 〇〇さんは、とても物を大切にしていますね。

 自分の持ち物だけでなく、お渡ししたレジメまで、とても丁寧に扱ってくれている  」

 そして、もう一言。

「 物を大切にする人には、自己管理力の高い人が多いんです。

 それに、命や自然や出会う人たちへのそれも含めて、感謝心の高い人も 」

面接の終盤でそう声を掛けられたら、皆様はどう受け取るでしょう?

同様の場面で、戸惑ったり、驚いたりする応募者も決して少なくありません。

けれど、その応募者は輝くような笑顔を見せ、感謝の言葉を一言。

『 ありがとうございます 』

そして、私の同意を求めた上で、現在はニューヨークヤンキースに所属するイチロー選手の話を聞かせてくれました。

◊ ◊ ◊

バットの木は、自然が何十年もかけて育てたものです。

僕のバットは、この自然が育てた木から、たくさんの人の手をかけ生まれたものです。

昔、一度バットを投げて、とても嫌な気持ちになったことがあります。

自然に感謝して、生み出してくれた人たちの気持ちを考えるなら、僕はバットを投げたり、地面に叩きつけたりはできません。

自然が何十年もかけ育んだものから、たくさんの人たちが想いをこめて生み出してくれたバットやグローブ。

このバットやグローブのおかげで野球ができるのです。

プロとして道具を大切に扱うのは、当然のことです……。

 ◊ ◊ ◊

真摯に高みを目指し続け、次々と記録や記憶を塗り替える礎には、イチロー選手ならではのそんな想いがあるのだと言います。

その応募者は学生時代この話を聞き、とても感銘を受け、自分が使うものも同じように……と考えたんだそうです。

私も面接選考をする立場ながら、胸に響くものを感じました。

そして、イチロー選手の話には及ばないけれど……と前置きし、こう返します。

「 これは学習塾を展開している社長様に聞いた話なんですが、
  鉛筆や消しゴム、レジメを丁寧に扱う子供ほど、成績が良い傾向があるんだそうです。

 そのレジメは私が書いたんですが、そこまで丁寧に扱ってくれとても嬉しくなります。

 物を大切にする人は、人を喜ばせる人でもあるんですね 」

私の言葉に、応募者はまた満面の笑顔を浮かべます。

そして、藤井さんが書いたんですね……と、レジメの内容のいくかについて、湧き上がっていた様々な想いを語ってくれました。

それは、面接に訪れる方々に私が伝えたいことを、しっかり受け止めてくれた上での想い。

終わりかけていた面接は、そこから少し延長されていきました。

そこからの時間は短いものでしたが、今も私の中に刻まれています。

面接というより、初めて出会った人と人が、互いに学び合い、認め合う時間のように……。

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