アクトビジョン 人と組織の未来のために

人材育成-成長の主役は誰?

2012.08.24

人材育成の大前提 ‐ 成長の「主役」は本人

組織活性化のための人材育成のヒント集。

これまでを振り返ると 『 どう育てるか? 』 と、なんだか 「 主役 」 が企業側や上司側……育成する本人の周り……にあるように受け取る方もいらっしゃるかもしれません。

そこで最後に、

『 成長の主役は、あくまでも本人 』

である……ということを、改めて押さえておきましょう。
 
 
私の持論のひとつでもありますが、

成長の 「 機会 」 や 「 環境 」 はいくらでも提供できる。
けれど 「 成長 」 自体を提供することはできない。

という真理を忘れて人材育成にあたると、これまでご案内したことは全て本末転倒になってしまいます。

成長の機会や環境はいくらでも提供するけれど、それは上げ膳据え膳、至れり尽くせり……ということではない。

本人が受け身の姿勢で 「 成長させてもらえる 」 ……と周りをあてにしている姿ではなく、主体的に 「 自ら成長しようする」 姿こそが、これまでのご案内の大前提です。

◊ ◊ ◊

「 最近の新入社員はどうも受け身で…… 」

多くの企業様のお声です。

言われたことは卒なくこなすけれど、自ら能動的に動く姿が少ない。

研修でグループごとにリーダーを決めようとしたら、互いに譲り合って誰も手を上げない。

解らない事があったらどんどん質問、相談してね……と伝えても、質問や相談がないまま、結局自分たちなりのやり方で小さく自己完結してしまうことが多い。

・    「 社会の中の自分 」 から 「 自分の中の社会 」

・    「 自分らしく 」 から 「 自分サイズ 」

・    「 閉じられた連帯感 」 、「 コミュニティキャラ 」 、「 自己肯定による自己完結 」

など、ここ数年は背景となる若者意識の変化を表した言葉が次々と生まれ、

「 なんだか、いつまでも空気を読んでいるというか……失敗を極端に恐れるというか…… 」

というお声が多くなっているように感じます。
※これらのキーワードの背景は こちら で少し掘り下げています。

ここで人事を担う方々の多くは、そもそも……と、採用手法へも視界を広げていきますが、それでは来年まで待たなければならず、根本解決にはなりません。

受け身の姿勢から、能動的な姿勢。

自己完結で小粒な成果から、周囲を巻き込み大きな成果。

言われたことだけでなく、言われたこと+α……そして言われなくてもやるべきことを探し、積極的に挑戦し成し遂げる。

そんな、自発的、主体的に行動する姿へ、変化を促すかかわり方の工夫が必要なようです。

《 コラム一覧はこちら 》《 コラムアーカイブスはこちら 》

←「ティーチングとコーチング」前章へ

2012.08.30

新入社員研修の課題

『 多くの会社の新入社員研修が内包している、最大の課題を知っていますか? 』

先日、人事や採用に携わる方々と一献酌み交わしていた時のことです。

私の大先輩でもあり、人事や採用の世界で30年……というDさんが何気なく口にした言葉に、銘々が応えるシーンがありました。

「 全員一律でひとり一人に細やかに対応しきれない 」

「 あれもこれもと詰め込み過ぎて、結局半分も残っていない 」

「 外部研修など予算が掛かりすぎる 」

「 配属先のスタンダードレベルとの、微妙なズレ 」

「 毎年の新入社員の変化に、プログラムが合わせきれていない 」

そして最後に、「 時々、何人か寝ている…… 」

ここで一同苦笑いを浮かべたところで、Dさんが静かに呟きます。

「 せっかくやる気になっている新入社員を、悪気なく受動的な姿勢にしてしまうこと 」

この言葉には、皆いっせいに頷いてしまいました。

次から次へ、きめ細かく準備されるプログラム。

待っているだけで、上げ膳据え膳のように与えられていく課題や教材。

時間がくると、次にやることが用意されているという至れり尽くせりの一日。

これが1週間……場合によって1か月以上続く組織もある。

『 ああ、会社ってこんなふうにいろいろ用意してくれるものなんだ…… 』

入社初日、武者震いしながら出社したのもつかの間。新入社員たちの内面に、いつのまにか受け身の姿勢が入り込み、会社とはこういうところなんだと恒常化してしまう。

だから配属先の職場に戻っても、

「 今日は何をやったらいいんですか? 」

と当たり前のように指示を待つ。

これが 「 仕事は与えてもらえるもの、成長はさせてもらえるもの 」 という受け身の姿勢の原因のひとつなんじゃないか……と嘆きます。

◊ ◊ ◊

Dさんの会社では、数年前からこの流れを感じ取り、新入社員研修のやり方をガラリと変えてみたそうです。

まず最初は、

「 研修前、新入社員自ら習得目標を立ててもらう」

ことから着手。

上げ膳据え膳で用意するのではなく、研修の前に 「 学びたいこと、身に着けたいこと」 を自ら主体的に決める行程を挿むようにしたといいます。

前日に、おおよその研修テーマや内容を伝えておき、その上でひとり一人に何のために何を学ぶかを考えてもらう。

これだけで研修は、与えられるものではなく、自ら主体的に学びたいものに変わります。

感度が上がり、研修内容の吸収度が高まるという、嬉しい副産物も付いてきたそうです。

続いて、これまで用意して教えていた内容を精査し、

「 自分たちで調べられることは、自分たちで情報を集めてまとめ、互いに発表し合う」

という形を取り入れてみました。

例えば、自社の事業領域や仕事の流れなどを、数人ごとのグループに分け、事業別に研究。

WEBページや社内資料等の情報はもちろん、あらかじめ渡された取材を受けてくれる先輩や各組織マネジメントを担う方々のリストから、情報を持っていそうな人を自分たちで選び、自分たちでアポイントをとって取材。

これをパワーポイントなどにまとめ、互いが講師となり教え合う……という形式です。

実際の仕事は、自ら調べ、自らアポイントを取り、自らプレゼンテーションするもの。

仕事の本来の姿にも近く、確実に主体的な姿勢が育まれます。

また取材では、ビジネスマナー、アポイントなど、他の研修内容が早速試されます。

より良い取材ができるよう、他の研修にも懸命に臨むという副産物も付いてきたそうです。

《 コラム一覧はこちら 》《 コラムアーカイブスはこちら 》

←「ティーチングとコーチング」前章へ

2012.09.05

自ら成長を求める人材へ

ご案内している 『 成長の主役は、あくまでも本人 』であるということ。

育成者研修では、ここで、ある西洋の諺をご紹介することがあります。

independence_03

この諺を人材育成から視点で捉えると、人を育てる際の繊細な節理が見えてきます。

成長の主役は本人……であることもより鮮明になるでしょう。

………………………………………………………………………………………

誰でも馬を水場へ連れて行くことはできる。                     

けれど、喉の渇いていない馬に、無理やり水を飲ませることは誰もできない。

………………………………………………………………………………………

この諺の言葉を借りれば、どんなに周到な準備をしても、どんなに工夫をこらしてみても、本人が渇きを感じていなければ、水を飲ませることまでは誰もできません。

成長のためになるよ……と美味しい水は用意できても、その先は本人次第。

喉が渇いていなければ、どんなに充実の研修も、練りに練った育成プログラムも空回りし、無理に力を入れれば 「 やらされ感 」 まで感じさせてしまうかもしれません。

 
では、どうすれば良いのか?

人が育つ組織は、この繊細な節理をしっかりと踏まえます。

水を無理に飲ませることはできなくても、喉を渇かせること、渇きに気づいてもらうこと、渇きの前に水を用意することはいくらでもできる。

成長のためになるよ……と水場へ連れて行く前に、喉を渇かせる機会を提供し、喉の渇きに気づいてもらう……ステップを踏むわけです。

こうすれば、決して飲まれなかった水も、自ら手を伸ばし飲み干されます。

成長のための美味しい水は、乾いた体にこそ、すっと吸収されていきます。

以前ご紹介した、知識やスキル等の習得前の 働くための贈り物育成のための基本構造 、そして、「 結果期待感 」 「 行動可能感 」 なども、実はここに繋がっていました。

◊ ◊ ◊

前回 ご案内の主体性を育むための仕組みや仕掛けの一例も、そのベースは同じです。

組織として水を用意する前に、まず喉を渇かせ、喉の渇きに気づいてもらう。

自ら主体的に決めたことに取り組む、やりがいや楽しさ。

自ら調べまとめることで、身に付く知識の面白さ。

更には、それが周りの人たちの役に立つという喜び。

Dさんの会社では、長期的な視点で捉えた自らのキャリアアップは自ら創造するものという価値観も共有しているそうです。

半年後の自分、一年後の自分。

そして数年後、〇〇歳の自分は……という自己イメージを、ひとり一人がわくわくしながら描いている組織になり、確実にひとり一人の成長スピードが上がったと言います。

至れり尽くせりでも誰かが用意したキャリアより、苦心しても自ら主体的に描くキャリア。

成長させてもらう、仕事を与えてもらう……から、自ら成長する、自ら仕事を創り出すへ。

この辺りは以前ご紹介の 「 Must Can Will 」「 目標設定 」 にも通じています。

 
Heaven helps those who help themselves.

主体性を示唆する諺が多い西洋には、

「 天は自ら助くる者を助く 」

 という諺もあります。

自ら主役となって大器たる人材へ歩む。

自ら機会を創りだし、機会によって自らを変える。

主体的に成長する人材、自律型人材が望まれる変化の時代、新入社員の変化を促す工夫は、たくさんの美味しい水を用意することだけでなく、喉を乾かす手間暇を惜しまない関わりが大きなポイントになるようです。

←「ティーチングとコーチング」前章へ・次章へ「育て上手な人の3つのポイント」→

ページ上部へ戻る