アクトビジョン 人と組織の未来のために

人材育成-育成方針の明確化

2011.10.14

サッカー選手に野球の練習をさせていませんか?

企業経営者様や店舗オーナー様をはじめ、人と組織を活き活き元気にしたい……
そんな熱い想いの全ての皆様を応援する、人材育成のヒント集。

アクトナビの藤井です。

たくさんのウエブサイトの中からactnavi.comへお越し頂き、ありがとうございます。

組織活性化のための連載コラム……まずは、今年、組織として初めて国民栄誉賞を受賞し、年末には流行語大賞にもなりそうな『 なでしこジャパン 』の話から始めましょう 。

サッカー_キックオフ_図

2011年女子サッカーワールドカップでの初優勝。

最後まで諦めないひたむきな姿勢と、折れない想いが生み出した勝利の感動。

それは、本当に沢山の人たちに勇気と元気を与えてくれ、3月11日の震災からの復興へも、心強い大きなエールになりました。

強豪アメリカチームとの決勝戦は、一進一退。
同点のまま、ついに延長戦に入ります。

そこでまたもや先制されハラハラする中、試合時間は残り4分……。

ここで、『 最後まで諦めない…… 』 と強い想いで澤穂希選手が放ったシュート。

そのボールがアメリカチームのゴールネットを揺らし、同点ゴールが決まった瞬間……。

その感動は、早朝にもかかわらず、思わず私も大きな歓声をあげたほどでした。

 
さて、例えばですが……。

この澤選手が一生懸命 『 野球 』 の練習をしていたとします。

バッティングや野球の守備が上手くなり、ホームランを量産できる力がついた……として、果たして佐々木監督は 『 うん、澤は本当に成長したなぁ 』 と認めるでしょうか?

human_resource_development_method_001

いやいや笑い話ではありません。

意図や悪気あるわけではなく、知らず知らずそんな人材育成になってしまっている状況は、数多くの様々な企業や組織の中に散在しています。

たくさんの企業様のお手伝いをする中で 『 人材育成 』 の問題に眼を凝らすと、例えるなら澤選手に一生懸命野球の練習をさせたまま、

『 なぜ、あんなに素質もあり、がんばっているのに成長しないんだろう? 』

という現象に陥っているような状況に、本当に数多く出会うのです。

ポイントは

自社で果たすべき 『 成果 』

個々にしてほしい具体的 『 行動 』

そのために必要な 『 知識 』『 スキル 』

そして 『 組織として大切にする価値観や考え方 』 

こういったことを明確にしないまま、とにかく 『 成長 』 を求めている点。

個々人がそれぞれの考えで、時に当て外れの努力もしていますから、その努力は空回り。
組織や企業への貢献に、なかなか結びつかない……ということになり『 なぜ…… 』と、周りも本人も当惑してしまう。

しかし、多くの場合、本人は本人なりに一生懸命努力していて、本人が全く努力していないというケースは、ほとんどないものです。

けれど 『 努力が空回り 』 してしまっている。

とても、もったいない状態なのです。

human_resource_development_policy_for_efforts

これらの 『 努力を空回りさせてしまう 』 ことの原因は、先ほどの例で続けるなら、自社や自組織がサッカー選手として育てるのか、野球選手として育てるのか……

『 育成方針が明確化されていない 』

ことによる齟齬がほとんどです。

自社や自組織は、サッカーをやろうとしているのか、野球をやろうとしているのか。
これにあたることをまず明確にし、組織に浸透させ、メンバーとしっかり共有する。

ここがしっかりできているのか、まずは自社や自組織を見渡してみましょう。

例えばサッカーをやることを明確に示したなら、選手は自然に 「 バッティングや守備 」 の練習ではなく、「 パスやドリブル 」 、「 シュート 」 の練習をはじめます。

自社や自組織としての 『 育成方針を明確にし、組織全体で徹底的に共有する 』

人材育成の最初の入り口は、まずここを抜きにしては本質的に前に進められないものです。

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2011.10.20

自社の中のメッセージ – 育成方針を明確にする視界

人の成長。活性化する組織。

企業経営やマネジメントを担う皆様をはじめ、人と組織を成長発展させたい……
そんな熱い想いの皆様を応援する、人材育成のヒント集。

アクトナビの藤井です。毎々お読み頂きありがとうございます。

 
前回 ご紹介の、育成方針を明確にし、組織全体で徹底的に共有する

では 『 育成方針 』 はどうやって明確にすれば良いのでしょうか?

というご相談も多く戴きます。

今回は、育成方針を明確にする視界をご案内していきましょう。

human_resource_development_method_002

またまた “ なでしこジャパン ” で盛り上がっている女子サッカーの例で恐縮ですが、今回の “ なでしこジャパン ” の戦略では、『 パスサッカー・選手間の連携・セットプレー 』 や 『 チームプレー 』 などのキーワードが飛び交っています。

フィジカルの課題を克服するため、一人の選手の力量や個人技で勝とうとするのではなく、チームとしてパスを繋ぎながらセットプレーで点を取るという戦略です。

報道も、ひたすら連携プレーやセットプレーを練習している……と伝えるように、この戦略で求められるのは、正確なショートパスやスルーパス、そして的確な連携力。 

よって、なでしこジャパンでは、パスやセットプレーの上手くなった選手を 『 成長 』 と見なし、『 評価 』 して積極的に起用します。

一方で、個人技やドリブル力で突破し、強烈なシュートで点を取る戦略のアメリカチームやドイツチームは異なります。

選手間の連携の前に、まず徹底的に磨きぬいた個人技や鍛えあげたフィジカル。
それが、『 成長 』 と 『 評価 』 の証です。

サッカーも、企業における組織運営も、ある意味ここは同じところがあります。

要は、

『 育成方針は、企業方針や組織戦略の延長線上にある 』

ということです。

組織が異なり、理念や戦略が異なれば、身につけて欲しいこと、成長の視点が変わる。

組織と戦略によって、「 成長 」と 「 評価 」 の方向は様々に分かれていくわけです。
 
 
一例として、事例掲出をご了解戴いたA社様とB社様でご説明しましょう。

human_resource_development_method_003

A社様は、『 日本伝統の文化を通して、心豊かな暮らしを提供する 』 を企業思想として、企業方針のひとつに 『 伝統の継承 』 を置いている組織です。

当然、育成方針の一環も 「 伝統技術の習得・伝統文化の継承 」 というキーワードを置き、これまで日本人が脈々と培ってきた技術や文化を守りぬき、しっかり未来へ伝えられる人材を育成しています。

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一方、B社様は、『 変革と新しい価値の創造で、わくわくする未来を提供する 』 を企業思想として、企業方針のひとつに 『 これまでにない価値の創造 』 を置いている組織です。

こちらの育成方針には、「 オープンマインド・変革・創造 」 等のキーワードがあり、常識や思い込みから解放され、多様性を積極的に拡大する人材、現状を変革し、これまでにない新しい価値を生み出せる人材を育成しています。

かたや 『 守ること伝えること 』 を求め、かたや 『 変えること創ること 』 を求める組織。

どちらが良い悪いとか、どちらが正しい正しくないではなく、前述の例に戻るなら、これは日本チームとアメリカチームの違いのようなもの。

『 チームプレーや連携 』 と 『 鍛えあげたフィジカルや個人技 』 同様、追い求めるものが  『 継承 』『 変革 』 なのですから、それぞれの組織での必然・必要・ベストな育成方針は、それぞれ異なる形になって表されていくわけです。

これらは、一例として、下図のような流れで策定していきます。

human_resource_development_policy_Sample

『 経営理念や企業思想 』 、『 トップや組織で働く人たちの志や価値観 』 を入口として、『 内的資源 』、『 外的要因 』 等の分析を経た、組織の 『 ビジョンやミッション 』 。

ではそれを実現するために、何をどんなやり方でどうするのかという 『 方針・戦略 』 や、 そのために最適な 『 フォーメーション・しくみ・制度・風土 』 。

そこからは、自ずと個々のメンバーの

『 果たして欲しい役割 』『 生み出して欲しい成果 』『 成長設計 』

が導き出されてくるでしょう。

こういった流れをそれぞれ具体的な言葉にし、順に並べていく。

それを一呼吸置いてから、改めて見つめ直してみてください。

自社や自組織の現在から未来に沿って

『 自社らしい人材像・ありたい人材像・求められる人材像 』

が浮かび上がり、徐々に鮮明になっていくはずです。

human_resource_development_method_007

自社は、〇〇という理念を大切に、◇◇という強みを活かして、△△を戦略とする。

だから、

「 〇〇らしい人であるべき、◎◎な人でありたい、◎◎な人が求められる 」

ここまで描ききると、組織の人材育成……は一変します。

それは、いわば人材育成の目的地だからです。

human_resource_development_method_008

この後は、その目的地に向かって、組織内で共有するための道標や標識を創る感覚です。

特に急速に組織規模が拡大している組織ほど、ある地点を越えると、それまで掲げなくてもよかった道標や標識が必要になるものです。

向う目的地はどの方向のどこにあるのか……共に働くかけがえのない人たちが明確に分かるよう、項目を分けたり、成長段階ごとの指針を示したり、スローガンの形を交えたり……。

先ほどのチャート図は、汎用性の高い項目例として、必要な知識、身に着けるべきスキル、望ましい具体的行動と、それらを繋ぐ健全なものの考え方、そして、土台となるマインド ( 仕事への姿勢・意欲・スタンス・心構え・パッション ) を育成項目としたものです。

今いる場所……現状から、向かっていく目的地……理想とする人物像。

社員ひとり一人が、その方向と場所が分かるよう示すものが、育成方針というわけです。

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2011.10.25

共に働くかけがえのない人たちへ丁寧に言葉を紡ぐ

人事や組織マネジメントを担う皆様をはじめ、人と組織を活き活き元気にしたい……。
そんな熱い想いの皆様を、更に熱い想いで応援する人材育成のヒント集。

アクトナビの藤井です。毎々お読み頂きありがとうございます。

 
ご案内している 「 育成方針を明確にし、組織全体で共有する 」

今回は実例も含め、明確にした育成方針をどう共有するか……について、2つのポイントをご紹介致しましょう。

human_resource_development_method_009

 
早速1つめのポイントです。

前回のような流れで策定した育成方針。これを組織で共有する場面で大切なのが、

その流れの全体まるごとを共有する

ということです。

単に 「 〇〇〇力を高めてほしい、◎◎◎をもって成長とする 」 という帰着点だけでなく、理念や企業思想、方針や戦略……もう少し親しみやすくご案内するなら、

『 自社が大切にしている想いや考え方、自社が目指していること 』
『 何を、どうすることで、それを実現していくのか  』
『 それを推進するための制度や仕組み、フォーメーションや目指す風土 』

などをできるだけ踏まえ、だから

『 〇〇力を高めよう 』
『 ◎◎することを大切にしよう 』
『 ◇◇へ向かって成長しよう 』

と、その方針に至った背景や考え方も含めて共有するわけです。

その力を高めることが、どう活かされ、どんなことに繋がっているのか。
その力を高めることは、どんな未来を創るのか……。

単に成長の方向を示すだけでなく、その意義や目的まで深く根を張って共有

しているのが、人が育ち、人がイキイキと活躍している組織の共通点です。

 
次に、2つめのポイントとなるのが、組織のひとり一人に、

より浸透しやすい工夫・仕掛けをする

ということです。

明確にした方針を、すぐ取り出し確認できるようレジメや冊子にしてみる。

そのレジメや冊子を使って、じっくりレクチャーする機会を設けてみる。

大きな組織は質疑応答の場面を考え、新入社員向け、中堅社員向け、組織管理者向け……と、それぞれ階層別に編集や設定することも視野に入るでしょう。

また、そこで風に合った言葉を使う、口ずさみ易い語呂の良い言葉をキーワードにする、慣れ親しまれている言葉を選ぶ……等も、より浸透し易くするための見逃せない工夫です。

例えば、育成項目の頭文字から 「 三文字熟語 や 四文字熟語 」 の造語を創って共有する、有名な 「 5つのション、7つの習慣 」 等になぞらえ 「 5つの〇〇〇、7つの〇〇 」 等、連想しやすいキャッチワードで項目を展開する……等、様々な表現ができるものです。

このあたりは分かり易いよう、実例を通して詳しくご説明致しましょう。

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※こちらをクリックすると別画面で拡大します

上記は、沢山の皆様のお役に立てるなら……と、事例掲出をご了解戴いたC社様の育成方針の一部です。
( 階層ごとの編集がありますが、こちらは新入社員向けのものです。)

C社様は、ここ数年で急速に企業規模が拡大。

次期3か年計画を策定するにあたり、人事・評価制度の再構築と共に、それまでの人材育成への取り組みを更に発展させたい……と、私達にもお声掛けを頂き、育成方針を新たに再編されました。

この時、新たに人事・評価制度とも連動するキーワードを希求。

そこで衆知を集めた上で、私たちからご提案させて頂いた制度設計案のひとつが、上記の中の 「 ACHIEVE 」 というキーワードから連動する設計でした。

「 ACHIEVE 」 には 「 成し遂げる、達成する 」 という意がありますが、C社様では創業当初から社内でよく使われており、既に良く親しまれ社内に馴染んでいる言葉であったことも付け加えておきます。

 
ここで特にご紹介したいのは、前回 のような流れを経て明確化した育成項目を、その 「 ACHIEVE 」 の頭文字から始まる 「 私たちの7つのション 」 という形にし、より浸透し易くした点です。

A・C・H・I・E・V・E のそれぞれを頭文字として、全ての語尾がtion。

これなら5つを越えた 「 7つのション 」 でも、ひとり一人の中に残ります。

更に、社長様の創業時からの口癖である 「 Ambition 」 をはじめ、その一つひとつに丁寧な背景と成長段階ごとの指針を設計。

もちろん、ここではご紹介していませんが、前述の1つめのポイントもしっかり網羅され、「 企業理念や企業思想 」「 創業からこれまでの歩み 」「 成長ステージのギアチェンジ 」「 どんな価値をどんなやり方で提供し、どんなお客様にどう貢献していくのか 」 ……等、イラストや写真も交えてわかり易く伝えています。

 
育成方針に限りませんが、方針が本当の意味で組織に浸透するためには、組織ひとり一人の 「 感情的な動きを含めた共感 」 を伴うことが大切です。

ひとり一人が 「 理解 」 するだけでなく、「 納得 」 するだけでなく、「 共感 」 する。

そのためには、共に働くかけがえのない人たちを思い浮かべながら、丁寧に、熱意を込めて言葉を紡いでいく時間が必要になるかもしれません。

それは少しだけタフな時間ですが、組織のひとり一人が 「 よしっ! そこへ向かうぞ!! 」 と自ら動く姿を目にする度、とても意義ある時間だったと感じられるはずです。

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