アクトビジョン 人と組織の未来のために

9月, 2015年

2015-09-25

変化への適応③-場創りの視界

前回ご案内の、2018年問題や様々な法律改正への対応。

ここで大切なのが、自社の未来を描くにあたり、人が集い、成長し、活躍し、充実した人生を共に歩む 「 場創り 」 の視界を伴っているかどうかです。

変化する時代の中、この 「 場創りの視界 」 を見落としてしまうと、せっかくの取り組みや思い切った打ち手も、なかなか上手くいかない……という状況に繋がることが多いのです。

例えばこの項の冒頭ご紹介した、採用や定着や育成の課題を解決するはずの、新しい働き方への諸制度やアルバイト・パートさんの正規雇用化。

この視界が伴っていないために、膨大なパワーと時間と手間暇をかけた新しい諸制度に、 「 希望者がほとんど現れない 」 ……状況に出会うことがあります。

華々しい成功事例の陰に隠れてあまり目が向けられませんが、手間暇をかけ整えた諸制度が 「 意図した成果に結びつかない 」 ……というお悩みも、一方で少なくはないわけです。

導入や育成の仕組みを整えたが定着の課題は解決されなかった……。

応募が少ないので思い切って時給を上げたが、応募者はさほど増えなかった……。

こういった状況に共通しているのが、「 場創りの視界 」 を伴わないまま採用や定着の課題に取り組んでいるところ。

せっかくの取り組みや思い切った打ち手が上手くいかない……等のお悩みを伺っていくと、多くのケースで 「 場創りの視界 」 を見落としている……という共通点に行き当ります。

バブル崩壊やリーマンショックの影響が根を残していて 「 人材をコストと捉える 」 傾向が強すぎるケース。

アルバイト・パートさんの一昔前の役割設計が固定観念になり 「 働く人たちの成長や能力の発揮になおざり 」 な取り組みになっているケース。

採用難や定着や戦力化の課題に集中するあまり、「 働く人たちの姿を見失った 」 ままで、制度設計や広報や運用を進めているケース……。

いずれも働く人ひとり一人の多様性という側面や、意欲や感情や能力発揮の側面に無頓着になりがちで、そこが成功事例とのズレとなり、意図した成果を阻む原因になっています。

数々の成功事例は制度の内容やその緻密さばかりが注目されますが、本当の共通点は、制度の内容や緻密さにあるのではなく、強い決断力と 「 場創りの視界 」 にこそあります。

多くの成功事例が 「 緻密に制度設計されている 」 のは、「 働く人ひとり一人の姿を見て、多様性や成長や意欲に対応している 」 故ですし、「 じっくり時間をかけ、丁寧に 」 導入されているのは、「 働く人ひとり一人の想いや感情に配慮している 」 故なのです。

以前ご紹介した、企業がアルバイト・パートを雇用する理由

「 人件費が割安 」

「 忙しい時間帯や一時的な繁忙に対処できる 」

「 経験・知識・技能のある人が即戦力で働いてくれる 」

ばかりではなく、ひとり一人が活き活きと働く 「 場創りの視界 」 を伴わせる……。

採用や定着や育成の課題解決ばかりに集中してしまうのではなく、

「 ひとり一人が働く動機 」

「 頑張ってくれる拠りどころ 」

「 仕事を通して得る成長や喜び 」

「 感情や心情の変化 」

等にも思いを馳せ、充実した日々を共に歩む 「 場創りの視界 」 に配慮して取り組む……。

少し俯瞰して捉えてみると、お客様満足の実現も、組織としての提供価値を高めることも、ましてや業績や利益や組織の成長・発展も、この 「 場創りの視界 」 が伴っていないと、
なかなか上手くいかない時代……になっているのかもしれません。

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2015-09-18

変化への適応②-2018年問題と必然・必要・ベスト

前回ご案内の 「 変化への適応 」 の一つの形。

セミナーや研修等でこちらの題材をご案内すると、数年前までは

「 大企業だからできること 」

「 準備に膨大なパワーがかかる 」

「 人件費の増加に対応できない 」

などのお声が多かったものですが、最近は状況が一転、具体的な事例へのご質問も含めて、「 実際の取り組みを前提 」にしたお声が圧倒的に増えてきました。

こういった変化の背景を象徴しているのが、

「 これらの取り組みは、2018年問題を捉えてのことでしょうか? 」

というご質問。

今回は、昨年あたりから企業経営や人事を担う皆様が口々に話題にされる 「 2018年問題 」 について、少しだけ触れておきましょう。

◊ ◊ ◊

実は 「 2018年問題 」 は、話題にする方々によって全く異なる2つの問題があります。

一つは、続く少子化を背景にした、大学や学部の存続にかかわる問題。

年々減少する18歳人口に伴って、2018年から入学者数が定員割れになってしまう大学や学部が急増する……という問題で、教育の分野に携わる方々が話題にされる2018年問題は、主にこちらを指しています。

そして、もう一つがこの頁の本題、有期雇用無期雇用にかかわる問題。

2013年施行の改正労働契約法第18条に伴い 「 有期労働契約者からの無期転換の申し込み 」 が2018年から始まる……という問題で、 企業経営や人事を担う皆様が口々に話題にされる2018年問題は、圧倒的にこちらの方です。

◊ ◊ ◊

一つめの少子化に伴い大学入学者数の定員割れが急増……という2018年問題も、ある面では 「 有期雇用と無期雇用 」 の課題と深く繋がっています。

少子化は大学だけに留まらず、既に10年以上前から公立の小中高校も含め統廃合を加速。

昨年発表された全国5801校……という過去12年間の小中高校の廃校数に、驚きや様々な感情を過らせたのは私だけではないでしょう。

その数か月前には、まるで共時性を感じさせるように、有名予備校が全国28校中20校を廃校するという報道もありました。

予備校も含めて、数多くの学び舎の統廃合は 「 必要な教職員数の減少 」 を意味していて、この10年ほど 「 臨時任用 」 という名の 「 有期雇用 」 の教職員数が著しく増加している状況に繋がっています。

時代の変化は、様々な教育現場にまで 「 有期雇用と無期雇用 」 という課題を提示しているわけです。

◊ ◊ ◊

そして、もう一つの2018年問題。

こちらは、たくさんのアルバイト・パートさんを雇用している企業や組織にとって、極めて大きな問題です。

背景にあるのは、2013年4月1日施行の改正労働契約法。

その第18条で、

「 同一使用者との間で有期雇用契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者からの申込みにより、無期労働契約に転換する 」

という「 有期労働契約者の無期転用ルール 」 が定められました。

これにより、5年後の2018年4月から、自社や自組織の有期労働契約者からの無期雇用化への申込みがいっせいに始まる……。

公布当初は、無期雇用化と正社員化の混同、労働者からの申込み……部分の拡大解釈や誤解なども相まって、経営や人事を担う一部の方々を慌てさせる場面にも出会いました。

あれから約2年。

現在、たくさんのアルバイト・パートさんを雇用する企業の多くは、

・各事業所や各店舗における有期雇用者の活用実態の 「 詳細な 」 把握

・有期雇用者への今後の活用方針の明確化

・基幹業務、補助的業務、繁忙期対応業務などの役割に応じた組織設計

・それぞれの採用基準や面接選考をはじめとした採用設計の再構築

・無期転換後の雇用条件や諸制度の設計

など、無期転用ルールへの対応を 「 緻密に 」 準備しています。

冒頭で触れた、

「 2018年問題を捉えてのことでしょうか? 」

というお声が増えた背景には、各社で急速に進む改正労働契約法への対応があったのです。

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ここでお伝えしたいのは、法律の改正も伴った今、「 機会によって自らを変える 」 ことの 「 必然・必要性 」 です。

冒頭で触れたお声に戻るなら、「 大企業だから…… 」 だけでなく、企業規模にかかわらず2018年は必ず訪れる。

採用や定着でお悩みの組織にとって、「 膨大なパワー 」 をかけるなら、まさにこの数年がベストなタイミング……というわけです。

前項でご案内したように、20年先までの労働力人口の減少は確かに予測される未来。

労働契約法だけでなくパートタイム労働法など様々な法律の改正、更には雇用政策の見直しも伴って、「 必然・必要性 」 のスイッチは次々と押されています。

必然・必要だからこそ、今こそ大きく舵を切り、ベストな選択へアクセルを踏み込む。

「 変化への適応 」 は、そのタイミングも極めて重要な要素です。

 
※有期雇用から無期雇用、有期雇用から正規雇用への転換、そのための人材育成の取り組みには様々な 「 助成金などの支援制度 」 があり、来年3月31日までは条件の緩和、助成金の増額などの措置が取られています。

ご興味のある皆様は こちら を参照頂き、最寄りのハローワークや労働局に問い合わせてみると良いでしょう。

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2015-09-15

変化への適応①-機会によって自らを変える

企業経営やマネジメントを担う皆様をはじめ、人材採用や育成を担う皆様を心から応援する組織活性化のヒント集。

アクトナビの藤井です。毎々ご愛読頂きありがとうございます。

 
前項でご案内してきたアルバイト・パート採用を取り巻く環境。

前回ご案内した、新たに求人募集をするにしても、労働力人口全体が減少し続けている……という現実。

この項では、この大きな潮流の中、

「 では、こういった変化にどう対応すれば良いのか? 」

について、幾つかの形を見ていくことに致しましょう。

◊ ◊ ◊

これまで、有効求人倍率の上昇と共に、新聞や各メディア等で大きく報道されてきたのが、「 今までになかった働き方 」 や 「 新たな時代に向けた人材活性制度 」 等の導入企業のニュースです。

一昔前までは現実味のなかった様々な働き方の包み込み。

従来は荒唐無稽とされがちだった雇用形態の壁の撤廃。

いち早く先を見通した企業や組織は、アルバイト・パートさんの無期雇用化へも踏み込み、次々と変化への適応を推し進めています。

約1万6000人のアルバイト・パートさんの正社員化で話題になったユニクロ。

パート雇用という形態を原則として廃止し、無期雇用化を推し進めるイケア。

3年の準備期間を経て、ほぼ全ての契約社員を正社員化したスターバックス。

ロフト社員という人事体系に統一し、アルバイト、パート、契約社員、正社員……の垣根を取り払ったロフト。

他にもアルバイト・パート比率の高い流通・外食業界などを中心に、こういった動きは様々な形で拡がっていて、採用や定着のみならず、育成や戦力化の課題まで解決しているケースも見られます。

もちろん、変化に適応しようとする全ての企業でアルバイト・パートさんがいなくなる……わけではありませんし、全てのアルバイト・パートさんの無期雇用化を推進しましょう……というわけでもありませんが、

・勤務日数や勤務時間が選べ、原則転勤もない……けれど正社員と同様の無期雇用

・多様な働き方と個々の能力発揮の共存による、生産性の向上

・賞与や福利厚生制度の正社員層との統合

・教育研修や育成制度の正社員層との統合

・キャリアパスや昇進昇格制度の正社員層との統合

・更には働くママ層が抱える育児との両立や、主婦層が抱える配偶者控除への対応

等の領域まで踏み込んでいるものも多く、強い決断力と様々な工夫、緻密な設計の結晶……と称すべき制度が数々生み出されているのは事実です。

◊ ◊ ◊

「 部下は部品ではない。取り換えはできない…… 」

「 一生を託せる会社。成長していける環境を…… 」

というユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井会長兼社長の言葉には、これからの組織設計の在り方や新たな人事・採用戦略の視界まで感じます。

マクロの視界で自社や自組織のあり方、人事や採用のあり方を捉え直す……。

ここで大切なのは、求人手法や採用局面だけで何とかしよう……としているのではなく、

「 人が集い、ひとり一人が充実し、人が辞めない自社や自組織創り 」

「 人が集まり、生き生きと活躍し、人生を共に歩む場創り 」

の視界で、

・「 多様な働き方 」 への包容力を、積極的に自社や自組織の経営インフラとする

・「 能力の発揮や成長 」 を引き出す仕組みで、永続と発展への新たな経営資産を創る

など、人事制度はもとより組織や役割設計の領域まで深く踏み込んでいるところです。

時代に合わなくなった古い制度やルールに縛られて 「 人材が集まらない 」 と悩むよりも、新たな時代に合うように自らを変えて 「 人材を集める 」 。

長く慣れ親しんだ組織の形、古い制度やルールの見直しも含め、時代の変化を機会と捉え、機会によって自らを変えているわけです。

◊ ◊ ◊

組織設計も人事制度も、マクロの視界では 「 道具 」 のひとつに過ぎません。

今、人材採用でお悩みの皆様の中には、その 「 道具 」 への固着や手放しにくさに縛られ、本当は変わらなければならない領域に目をつぶっている……状況はないでしょうか?

イソップ物語の木こりと旅人の例を借りるなら、刃が欠け切れなくなった斧をそのままに、日々苦労しながらとにかく木を伐り続けている……状況はないでしょうか?

大きく変化している時代の潮流。

環境の変化を、使う道具を進化させることで乗り越えてきたのが人と文明の歴史です。

新しい道具を手にする歴史は、古い道具を手放す歴史でもある。

永続と次の成長へ向けて少しだけ俯瞰し、時代に合わなくなった古い殻を脱ぎ捨てることも「 変化への適応 」 の一つの形かもしれません。

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