
ご案内しているアルバイト・パート採用を取り巻く現状。
今回は、「 近隣の時給相場が…… 」 の具体的な動向として、最低賃金の推移から見ていきましょう。
こちらは全国加重平均だけでなく、最低賃金の上位5都府県の推移です。
2006年あたりを境にして、動きが変化していることが見て取れます。
東京の最低賃金は、この10年で710円から888円になりました。
大阪は704円から838円に。
愛知は683円から800円に。
実態は 「 業界 」 や 「 具体的な仕事内容 」、「 最寄り駅や中心部か周辺地域か 」 等にもよりますが、この金額プラス70円から120円辺りがボリュームゾーン。
単純計算をすると東京では960円~1010円。
大阪では900~950円。
愛知では870~920円あたりがボリュームゾーンとなっています。
東京の都心部では、時給1000円以上の求人募集もかなり目にするようになりました。
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ここで見落としてはならないのが、新しいアルバイト・パートさんをどう採用するか……の視点だけでなく、既存のアルバイト・パートさんの定着や離職防止への視点です。
前回ご案内のように求人倍率は、年を追うごとにどころか、四半期ごとに上昇しています。
求人倍率が上昇すると掲出される情報量が増えるので、より条件の良い募集などを目にする機会も増加します。
近隣店舗の時給が上がり続ければ、頑張ってくれているアルバイト・パートさんもいろいろ考えてしまうかもしれません。
この点は正社員層も当てはまるのですが、有効求人倍率が上がると転職者数も増加する傾向がある……ということです。
「 周りの給与や待遇を気にするのも…… 」
というお声も頂きますが、変化の激しい時代です。
自社や自店舗の近隣の動きはどうか、募集する職種の相場の動きはどうか……等を確認するのは、募集採用のためだけでなく、定着や離職防止の取り組みのためでもあります。
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経営やマネジメントを担う皆様をはじめ、人と組織を成長発展させたい……。
そんな熱い想いの皆様を応援する、アルバイト・パート活用のヒント集。
アクトナビの藤井です。毎々ご愛読頂き誠にありがとうございます。
前項 の 「 アルバイト・パート活用の土台創り 」 に続いては、時代の流れの中で大きく変化している 「 アルバイト・パート採用を取り巻く現状 」 を押さえていきましょう。
昨年、新聞などで報道されたアルバイト・パートの採用難に纏わるニュースの数々。
報道されたような大きな企業だけではなく、アルバイト・パートさんの採用に苦労する……というお声は、ここ数年、年を追うごとに増えてきています。
求人募集をしても以前のように応募がない。
応募があってもなかなか面接に至らない。
採用を決めても辞退されてしまうケースが増えた。
近隣の時給相場が上がり続けている。
追従せざるを得ない状況だが、人件費の大幅な増加への対策が追い付かない……。
これらのお悩みを統計データから具体的に見ていくと、例えばこの5年間の有効求人倍率は下記のように推移しています。
これまでも度々ご紹介してきた有効求人倍率の推移。
採用が難しくなっている……のは、一昨年や昨年の状況に対し、具体的にどのくらいの変化なのかを把握する一助となります。
今回は季節的変動要因が大きいアルバイト・パートさんが主役ということで、四半期ごとの季節調整値の方で比較。
更に
① パートタイムのみ
② 新規学卒者を除いた全体
③ 新規学卒者とパートタイムを除いた推移
の3つの視点で整理したものを添付しておきました。
こちらのグラフをセミナーなどでご紹介すると、
「 えっ、アルバイト・パートさんの方が有効求人倍率が高いんですか? 」
「 グラフは逆になっていませんか? 」
というお声を時折頂いたりもしますが、逆ではありませんのでご安心ください。
アルバイト・パートさんの方が有効求人倍率が高い……。
この統計元が公共職業安定所 ( ハローワーク ) におけるデータであることを前提としても、これまでアルバイト・パートさんの方が競争率が低く採用し易い……と思っていた方には、意外な事実かもしれません。
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こちらのグラフからは、年を追うごとに……どころか、四半期ごとに、企業やお店にとっての採用環境が厳しくなっている現状が身に沁みます。
先日発表された2014年12月の有効求人倍率 ( 新規学卒者を除きパート含む ) は1.15倍。
2014年10月の1.10倍、11月の1.12倍に続く3カ月連続の上昇は、新聞やニュース等で22年9か月ぶりの高水準……と報じられました。
更にパートタイムだけの有効求人倍率の推移を見ると、2012年に1.0倍まで回復した後、一昨年には瞬く間に1.2倍を超え、昨年は1.34倍から1.41倍まで上昇。
確かに採用難を裏付ける厳しい採用環境です。
ここで大切なのは、対策を考えるにあたって、3%~4%の微妙な変化に対する打ち手と、30%~40%もの大きな変化に対する打ち手では、
「 考えるべき解決策の質と量が根本的に大きく変わる 」
ということです。
取り組むべきはこの3年で40%以上の大きな変化に対する解決策。
統計による事実は、小手先の工夫ではとても追いつかないほどの大きな変化……であることを示しています。
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この傾向は東京や名古屋を有する愛知などでは更に顕著で、新規学卒者を除く全体値の比較でも、下記のように動き方に目に見える開きが現れています。
東京は2020年の東京オリンピックへ向けた動きが加速しています。
名古屋駅周辺は続々と超高層ビルが建設され、来るべき中央リニア新幹線を待ち構えます。
東京―名古屋間が最速僅か40分……。
日本全体で人口減少が進む中、両都県は三本指に入る人口増加率ですが、厳しい採用環境は今後もしばらく続くかもしれません。
東京や愛知の皆様は、長期的な変革も含めた採用戦略、3%~4%の変化に対してではなく、50%~60%の変化に対する打ち手、根本的な対応の視点が大切です。
次回は、時給相場の推移を見ていきましょう。
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経営やマネジメントに携わる皆様をはじめ、アルバイト・パートさんの採用、育成、戦力化を担う皆様を応援する組織活性化のヒント集。
アクトナビの藤井です。毎々ご愛読頂き、誠にありがとうございます。
前回ご案内の、自社や自店がアルバイト・パートさんを募集する背景や、雇用する理由。
皆様は、どのようなお応えが浮かんだでしょうか?
再び厚生労働省が数年毎に実施している 「 パートタイム労働者総合実態調査 」 によると、企業がパートを雇用する理由は前回、最新の調査とも 「 人件費が割安だから 」 が最多数。
続いて多かったのが 「 1日の忙しい時間帯に対処するため 」 。
他、「 業務が増加したため 」 「 簡単な仕事内容 」 「 一時的な繁忙に対処するため 」 「 経験・知識・技能のある人を採用したいから 」 などが続いています。
割安な人件費で、1日の忙しい時間帯だけ助けてくれる。
急に増加した業務や、一時的な忙しさにも対処してくれる。
更には、経験・知識・技能のある人……。
こう並べてみると、企業はアルバイト・パートさんから、たくさんの恩恵を受け取っていることが改めて身に沁みます。
前回、もし、自社がアルバイト・パートさんを全く雇用していなかったら……という仮説をあえて示しましたが、業界やビジネスモデルによっては、
「 アルバイト・パートさん抜きでは、とても成り立たない…… 」
とお応えになる企業様は、ますます増えてきています。
アルバイト・パートさんから受け取るたくさんの恩恵……。
業界やビジネスモデルによっては、自社や自店を成り立たせてくれる存在でさえある……。
ここでお伝えしたいのは、アルバイト・パートさん活性化のためには、この 「 そもそも 」 をしっかりと胸に刻み込んでおくことが、とても深い意味を持つ……という点です。
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採用や定着、育成や戦力化にお悩みの組織の多くでは、この 「 そもそも 」 を置き忘れがちかもしれません。
先進のツールやシステム、数々の成功例を生み出している施策や制度を取り入れたけれど、現場がちぐはぐな状況になり、発揮されるはずの機能も発揮されない……というお悩みも、大方は、この 「 そもそも 」 が薄らいでいるところが根っこになっていたりします。
自社や自店にとってのアルバイト・パートさんの重要性……。
自社や自店舗の発展は、アルバイト・パートさんの存在、アルバイト・パートさんの活躍がなくては成り立たない……。
アルバイト・パートさんの募集や採用を思い立つ場面で、そういったことに想いを馳せる。
なかなか定着しない、育たない……の前に、大切な存在であることを改めて想い返す。
アルバイト・パートさんがこぞって集い、定着し、育ち、活き活きと活躍している組織は、ここを胸に焼き付けているからこそ創られています。
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アルバイト・パートさんの重要性を踏まえると、日々のかかわりの質と量が変わります。
日々のかかわり方や密度が高まると、アルバイト・パートさんとの関係性はもとより、組織の一体感も変わっていきます。
自社や自店の 「 そもそも 」 を理解し、アルバイト・パートさんの重要性を踏まえることで養われる、モチベーション機能や育成機能。
そして先にご案内の、ひとり一人を理解することで育まれる、グッドコミュニケーションやマネジメント機能。
アルバイト・パートさんの育成に力を注ぎ、成長や活躍を望むのも、この 「 そもそも 」 を踏まえていればこそ。
集める!つかむ!育てる!活かす!の4つのステップは、互いの 「 そもそも 」 を踏まえ、真摯に見つめ直すことで、 強く、しなやかな土台を得るというわけです。
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